自分でも、何がしたかったのか分からなかったんです。
家庭も裕福なほうで、
漫画や文房具なんて、
買おうと思えば買えるのに。
それでも、気がつくと
いつも手が動いていました。
最初は、中学の
帰り道のコンビニでした。
何となく立ち寄って、
棚に並んでいた
週刊誌を手に取って、
そのまま鞄の中に
入れていました
よくある「生きてる感覚」や
「ストーリー性」もなく
ただ、なぜか
やってしまったという感じでした。
それから、読みたくもない漫画を
盗むのが日課になっていきました。
毎日違う店で、一冊だけ。
家に帰るまでの
電車の中で、
盗んだ漫画を開いて読む。
内容なんて
ほとんど頭に入らないのに、
あの狭い車両の中が、
自分だけの逃げ場所みたいだった。