あの頃は、本当に何も考えられなかったです。
自分が何のために働いているのかも、
よく分からなくなっていました。
保険の営業って、
数字の世界なんですよね。
毎日ノルマ、ノルマで。
契約が取れなければ、
朝のミーティングで上司に詰められる。
「やる気あるのか!」
「他のやつはもう3件取ってるぞ!」
そんな言葉を浴び続けてると、
元々繊細な性格も相まって
心の中が少しずつ
削れていくのが分かるんです。
普通の人より
容量も悪いし下手に生真面目なので
会社を出るころには
夜の10時を過ぎていて、
それでも帰りの電車で
資料を見直して。
寝る時間よりも、
謝る時間のほうが
長いような毎日でした。
ある日、
取引先で
うまく話せずに契約を逃しました。
帰り道、
信号待ちで立ってるとき、
ふと
「このまま車道に出たら、楽になれるのかな」
って思ったんです。
そんな考えが浮かんだ自分に
びっくりして、
足がすくんで動けなかった。
その日から、
会社に行くのが怖くなりました。
寝ても、
朝になると心臓がバクバクして。
玄関のドアノブに
手をかけるだけで、
吐き気がして、
涙が出てきました。
それでも尚、
毎日出社しては
平気な顔をしていました。