その日も、何を食べたのか
思い出せないくらい心が空っぽで。
思えば、働いていた頃や
子育てに追われていた頃は、
「ああ、もう大変」
「休む暇もない」と、毎日のように愚痴をこぼしていました。
朝は弁当作りに始まり、
子どもを送り出して仕事へ。
帰れば夕飯の支度と片付け、
洗濯、掃除、明日の準備。
寝る直前まで何かをしていて、
常に時間に追い立てられていました。
その頃は
「忙しいのは辛い」
と思っていたんです。
けれど今になって気づきました。
本当に怖いのは、
忙しさがなくなることでした。
夫も子どももいなくなり、
やるべきこともなく、
誰からも頼られない。
気を張る必要がなくなった途端、
何をしていいのか
分からなくなったんです。
朝起きても、
掃除も洗濯も
一日かけてやるほどの量はない。
ご飯も自分ひとり分なら適当でいい。
仕事もない、用事もない。
時間だけがだらだらと過ぎていく。
「自由になったはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう」
そう思いました。
やることがある辛さより、
やることがない虚しさの方が、
人間を簡単に
壊してしまうのかもしれません。
だんだん、明日が来るのが
怖くなってきました。
「また同じ一日が始まる」
と思うと、
胸の奥が押しつぶされるようで。
生きていることに意味が見いだせず、
「いっそ眠ったまま目を覚まさなければいいのに」
と願う夜が増えていきました。
死にたいとまで思うようになったのは、
その虚しさが
積もり積もった結果だったのです。
台所に立っても、
作る気なんてまるで出てこなくて。
気づいたらリモコン握ったまま、
ぼーっとしてたら夜になっていました。
誰にも会わず、
何の意味もなく、
時間だけが過ぎていく、
そんな毎日でした。