中学2年13歳の夏、当時「小さな恋のメロディ」という映画が話題でちょうど異性に関心のある年頃の私の同級生達の間で次々カップルが誕生していた。
そんなさなか、私の友人が、私のことを好きだという人がいるというので誰?と聞くとKくんだった。
Kくんは同学年の中でかなり特異な存在だった。旅芸人一家の子で、あまり人と接することは好まない何を考えているか分からないアウトローのイメージ。
当時TVでヒーローだった木枯らし紋次郎のような人だった。
興味があった為、とりあえず、おつきあいしてみよう、という軽はずみな行動に出てしまい、一緒に映画を観たりなど一日過ごしたけれど私は気持ちが落ち込むばかり。
彼は純粋で、私はいいかげんな動機で彼に応えようとした。そのことでずいぶん自分を責めた。その後卒業するまで一年半位は遠くからの彼の視線をいつも感じながら、そのまま過ぎていった。
卒業後、高校に入学してしばらくした頃、そのKくんが二輪禍で亡くなったという噂を耳にして、自分が嫌いになってしまった。
後から、トルエン中毒と聞き、ますます自分が懸念していたことなのでは?と不安になった。
つまり、自分が原因で彼を自殺に追い込んだと思い悩んだ。
高2の夏、仲の良い友人達と、
能登へ気楽な旅に出た。
最初に宿としたユースホステルの屋上で一番の親友と、夜空を見上げながらいろいろ語り合った。
その時、都会育ちの私を圧倒するような星の数と迫力に心を奪われ、感動に震える思いがした。そして、自分の存在のちっぽけさ、宇宙から見たこの世のこと、など考えているうちに重い暗い心が洗われたように思った。
私のKくんとの思い出は、実は記憶の奥底に沈んでいた。
彼の記憶を紐とくことが出来、何か彼の供養になったようで、嬉しく思っている。